JPSJ注目論文

JPSJ 2008年8月号の注目論文

「ウランビームの飛行核分裂による新同位元素 125Pd, 126Pdの生成と発見
―理研次世代型RIビームファクトリーからの初成果―」

原子核の根本的性質の究明や元素の起源を探る上で、10,000種にもおよぶ天然に存在しない放射性同位元素(RI: radiaoisotope)を人工的に生成・観察することが不可欠である。そのために昨年完成した理研次世代型RIビームファクトリーからの初成果として、理研仁科加速器研究センターの久保敏幸氏の率いるグループが行ったウラン(238U)ビームの飛行核分裂による新同位元素探索実験において、二つの新同位元素125Pd,126Pd(元素名パラジウム、原子番号46)が発見され、研究者の強い注目を集めている。
なお、本研究に関連した、酒井英行氏による解説“Discovery of New Isotopes”がJPSJのNews and Comments欄 http://dx.doi.org/10.7566/JPSJNC.5.08に掲載されている。
どなたでもアクセスできるので、ご参照いただきたい。


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「新型超伝導の転移温度が最も高くなる最適な結晶構造が明らかに」

鉄系新型超伝導体 LnFeAsO (Ln=La, Nd) について、産総研の李哲虎氏らの研究グループは、東北大、ケルン大(独)、及びラウエ・ランジュバン研(仏)との国際共同研究によって詳細な中性子回折実験を行い、最も高い超伝導転移温度を実現する最適な結晶構造を明らかにした。より高温の新超伝導化合物探索の重要な指針を与えるものとして、研究者の強い注目を集めている。


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「酸素分子からなる磁性体の設計とその中性子散乱実験」

大気の構成要素中で2番目に多い酸素分子は、単純な2原子分子でありながら大きさがS=1のスピンを有している。横浜市大の益田隆嗣氏のグループが、東大、京大の研究者と共同で、細孔性金属錯体の周期的な位置に酸素分子を吸着させた磁性体を作成し、中性子散乱実験で磁性体としての性質(特に磁気励起)を観測することに成功した。
温度のわずかな変化で磁気励起の性質が敏感に変わる"柔らかい磁性体"であることを強く示唆する結果であり研究者の強い注目を集めている。
なお、本研究に関連した、壽榮松宏仁氏による解説“One-Dimensional Molecular Oxygen Magnet -A New Type of Low-Dimensional Molecular Crystal-”がJPSJのNews and Comments欄 http://dx.doi.org/10.7566/JPSJNC.5.09に掲載されている。
どなたでもアクセスできるので、ご参照いただきたい。


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