JPSJ注目論文

JPSJ 2009年6月号の注目論文

「「がらがら」と鳴る超伝導」

赤ん坊が振ると音を立てる玩具「がらがら」のように、周囲の原子が作る広めの空間の中で原子が大きめの振幅で振動すること(「ラットリング」と呼ばれる)ができるような結晶構造をもつ物質において、ラットリングが媒介する、新奇な超伝導の存在が予想されていた。最近、東大物性研の広井善二氏、山浦淳一氏らの研究グループは3つのβパイロクロア酸化物(AOs2O6; A=Cs, Rb, K)を詳細かつ系統的に調べ、その超伝導がラットリングメカニズムによるものであるとの結論に至った。ラットリングによる超伝導の発現を初めて決定付けた研究成果として多くの研究者の注目を集めている。
 なお、本研究に関連した、上田和夫氏による解説“A New Class of Superconductors due to Low Energy Rattling Modes”がJPSJのNews and Comments欄http://dx.doi.org/10.7566/JPSJNC.6.09に掲載されている。  どなたでもアクセスできるので、ご参照いただきたい。


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「最もシンプルな鉄系超伝導体において初めて超伝導相の全体像が明らに
---FeSe0.5Te0.5における圧力誘起超伝導-金属転移---」

昨年の東工大細野教授グループによる新超伝導体LaFeAsO1-xFxの発見以来、鉄系超伝導体の研究が世界中で急速に展開されている。最近、東北大WPI機構の山田和芳氏のグループと産総研の李哲虎氏、竹下直氏は、最も簡単な結晶構造をもつ鉄系超伝導体FeSe0.5Te0.5の、圧力に伴う超伝導転移温度の変化のほぼ全容を明かにすることに成功した。鉄系超伝導体について系統的な研究ができる場を初めて提供した研究成果として多くの研究者の注目を集めている。


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