JPSJ注目論文

JPSJ 2013年7月号の注目論文

電子ビーム中に生成した2つの渦の伝播ダイナミクス

 本研究では、自由空間を伝播する電子ビーム中に2つの電子渦を生成し、伝播にともなう電子渦の運動を観察した。その結果、2つの電子渦のトポロジカル数が同符号である場合、渦のペアはその中点のまわりを同じ回転の向きで公転運動し、トポロジカル数が逆符号の場合、互いに逆向きに公転運動する様子がみられた。伝播にともなう電子渦の公転運動は、Gouy位相によることを明らかにした。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Propagation Dynamics of Electron Vortex Pairs
Yuya Hasegawa, Koh Saitoh, Nobuo Tanaka and Masaya Uchida: J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 073402



パリティの局所的な破れが誘起するエキゾチック超伝導

 現在の物性物理学ではパリティ(空間反転対称性)が欠如した系におけるエキゾチックな量子現象が注目を集めている。一方、大局的にみると空間反転対称性が保存していても、ある部分に注目するとそれが破れているような物質、つまり局所的な空間反転対称性が欠如した物質が数多く存在する。新潟大学とスイス連邦工科大学の研究グループは、パリティの局所的な破れにより新種のエキゾチック超伝導相が実現することを明らかにし、複素ストライプ相と名付けた。CeCoIn5とYbCoIn5の人工超格子においてこの相が実現していることが、最近の実験により示唆されている。これまでの超伝導研究は大局的な対称性によって分類されてきたが、局所的な対称性の破れが誘起する超伝導相の存在が明らかになった。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Complex-Stripe Phases Induced by Staggered Rashba Spin–Orbit Coupling
Tomohiro Yoshida, Manfred Sigrist, and Youichi Yanase: J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 074714