JPSJ注目論文

JPSJ 2014年11月号の注目論文

カーボンナノチューブ中にハルデン磁性体を作製

 直径およそ0.8ナノメーターの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の内部に酸素分子を鎖状に配列させ、酸素分子(スピン量子数1)による新しい量子磁性体を作製した。上述の径のSWCNT中の酸素分子間には反強磁性的な相互作用の存在が理論的に予想されたため、帯磁率と強磁場磁化測定を行った。実験結果を数値計算結果と比較して良い一致が得られたため、ハルデン磁性体と見なせることが明らかになった。ナノ空間を用いた、酸素分子による初めての一次元反強磁性体の作製で、原理的には一本のナノワイヤーとして取り出しうるハルデン磁性体の作製に成功した。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Haldane State Formed by Oxygen Molecules Encapsulated in Single-Walled Carbon Nanotubes
Masayuki Hagiwara, Masami Ikeda, Takanori Kida, Kazuyuki Matsuda, Shin Tadera, Haruka Kyakuno, Kazuhiro Yanagi, Yutaka Maniwa, and Kouichi Okunishi, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 113706 (2014).



SmPt2Si2で見出された「無秩序磁気モーメントを含む磁気秩序状態」

 金属間化合物SmPt2Si2において、Smイオンが持つ磁気モーメントの多くが揺らいだままとなっている異常な磁気秩序状態が発見された。さらに、この秩序状態における比熱の温度依存性は、大きな有効質量を持って結晶中を動き回る「重い電子」の存在を示唆しており、揺らぐSmイオンの持つ4f電子が近藤効果を通じてこれを担っている可能性がある。この物質に内在する幾何学的フラストレーションが、この特異な秩序状態をもたらしているものと考えられる。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Possible Existence of Partially Disordered Sm Ions in Magnetically Ordered State of Ising Magnet SmPt2Si2: A Single Crystal Study
Kengo Fushiya, Tatsuma D. Matsuda, Ryuji Higashinaka, Kazuhiro Akiyama, and Yuji Aoki, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 113708 (2014).




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