JPSJ注目論文

JPSJ 2015年11月号の注目論文

バクテリアの紐状成長における複雑な折り畳み過程の定量化

 納豆菌を仲間とする枯草菌を寒天上で培養すると、美しいフラクタル成長パターンが見られる。どのようなプロセスを経て、ミクロなバクテリア細胞からマクロなフラクタル構造が形成されるのであろうか。枯草菌はある環境下において、細胞分裂を繰り返すものの、細胞の分断は起こさず、1本の細長い紐状に伸びていく。指数関数的に長さを増すこの細胞鎖は、折り畳み過程を繰り返しながら次第に寒天培地上を覆い尽していく。中央大学理工学部の本田(大学院生)らは、ビデオ画像を丹念に調べ、この折り畳み過程の定量化を行い、非線形微分方程式系での記述に成功した。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Self-Elongation with Sequential Folding of a Filament of Bacterial Cells
Ryojiro Honda, Jun-ichi Wakita, and Makoto Katori, J. Phys. Soc. Jpn. 84, 114002 (2015).



無磁場でも現れるグラフェンのホール電流

 グラフェンのフェルミ準位付近の電子はニュートリノと同じWeyl方程式に従って運動する.この系に基板の効果などによりバンドギャップができると,電子がギャップに比例した有効磁場を受け,無磁場にも関わらず,ホール効果が発生する.誘起されるホール電流はブリュアン域のK点とK’点の寄与が互いに逆方向を向いているため,通常のホール測定では観測できないが,非局所抵抗などによりその存在が確認される.最近,この谷ホール伝導率が不純物散乱により大きく増大し,散乱強度の弱い極限が散乱のない場合と全く異なることが理論的に明らかになった.

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原論文は以下よりご覧いただけます
Theory of Valley Hall Conductivity in Graphene with Gap
Tsuneya Ando, J. Phys. Soc. Jpn. 84, 114705 (2015).