JPSJ注目論文

JPSJ 2016年3月号の注目論文

「隠れた秩序」内で発現するカイラルd波超伝導

 ウラン化合物URu2Si2は17.5 Kで「隠れた秩序」と呼ばれる正体不明の2次相転移を起こし、そのメカニズムは四半世紀に渡って世界中で研究されている。本研究ではその秩序相内で起きるエキゾチック超伝導(Tc = 1.4 K)に焦点を当て、極低温比熱の温度・磁場・磁場方位依存性から超伝導ギャップが水平ラインノードを有するユニークな構造をしていることを明らかにした。この結果により、URu2Si2がカイラルルd波型というこれまでに例のないタイプの超伝導体であることが決定的となった。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Evidence for Chiral d-Wave Superconductivity in URu2Si2 from the Field-Angle Variation of Its Specific Heat
Shunichiro Kittaka, Yusei Shimizu, Toshiro Sakakibara, Yoshinori Haga, Etsuji Yamamoto, Yoshichika Ōnuki, Yasumasa Tsutsumi, Takuya Nomoto, Hiroaki Ikeda, Kazushige Machida, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 033704 (2016).



圧力誘起の電荷不均化の抑制,半導体–金属転移,高スピン–低スピン転移

 Aサイト秩序型ペロブスカイト鉄酸化物CaCu3Fe4O12のダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧下のX線回折,電気抵抗測定,X線吸収分光,57Feメスバウアー分光による圧力効果の研究を行った。最初の電子状態の変化は,約15GPaで起こり,高スピン状態でFe3+とFe5+に電荷不均化した半導体からFe(4-δ)+とFe(4+δ)+に電荷不均化がほぼ抑制された金属になる。さらに約30GPaまで加圧するとFe4+のみの完全に電荷不均化が抑制された状態になり,低スピン転移が起こる。単純ペロブスカイト鉄酸化物で電荷不均化が高圧下で抑制されることはあったが,電荷不均化の抑制が二段階で起こるのははじめてである。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Two-Step Suppression of Charge Disproportionation in CaCu3Fe4O12 under High Pressure
Takateru Kawakami, Yoshihiro Sekiya, Ayano Mimura, Kana Kobayashi, Keita Tokumichi, Ikuya Yamada, Masaichiro Mizumaki, Naomi Kawamura, Yuichi Shimakawa, Yasuo Ohishi, Naohisa Hirao, Naoki Ishimatsu, Naoaki Hayashi, and Mikio Takano, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 034716 (2016).