社団法人 日本物理学会
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日 本 物 理 学 会

2005世界物理年によせて
自己実現への一歩
--世界物理年関西委員会--



高 部 英 明 〈2005世界物理年関西委員会委員長,大阪大学 〉 
[日本物理学会誌 Vol.60 No8(2005)掲載]


  アインシュタインの奇跡の年から100年目を記念し世界中の物理関連学会が「世界物理年2005」に取り組み、物理の面白さ大切さを広く市民に知って頂く行事などを実施している。日本物理学会も世界物理年日本委員会のコアとして複数のプロジェクトを推進している。関西では大学、高校、報道関係などの有志(ボランティア)が集まり、標記の委員会を設立し、各種行事に取り組んでいる。
第3回全体会議(3月)で決まった3つのプロジェクトの内容を簡単に説明しよう。
(1)自然科学の基礎を訪ねる(11月19、 20日):大阪市立科学館を週末に訪ねる5、000名を超える一般見学者に学生有志が館内の説明をする。すでに、100名を超える有志が登録している。同時に歩いて5分の阪大中之島センターで市民向けの連続講演会や実験のデモ、展示会を行う。主な対象は高校生と一般市民。
(2) 最先端の物理を高校生に(10、 11月の 6 週間、 毎土曜 3 時から 6 時): 物理の最先端の講義、参加者のふれあいの時間、物理の工学への応用の実例を知る時間からなる。高校生160名を書類選考し、入学式から卒業証書授与までする。阪大湯川記念室の主催。
(3)アインシュタイン祭(3/18、 5/11、 6/30、 7/24、 9/27): アインシュタインの論文が100年前に学会誌に受理された日を関西市民と一緒に祝う日。論文にちなんだ彼の業績を著名な先生に市民向けに講演して頂き、その後、懇親会でお祝いをする。第 1 回を 3 月18日に実施。翌日の朝日新聞に大きく取り上げて頂いた (図 1 参照)。
さらに行事は増えつつある。詳しくは関西委員会の公式ホームページ(http://www.P-H-Y.net) をクリックして頂きたい。
関西委員会設立には2つの大きな背景があった。大阪市立科学館の高橋館長(物理教育学会副会長)は15年間、高校の先生たちの有志と一緒に 8 月に 2 日間、 梅田で 「サイエンス・フェスタ」を手弁当で開催してきている。昨年は2日間で3万人の小中学生と父兄が50以上のブースを訪ね、楽しんでいた。高橋館長から「世界物理年に上記(1)の行事もしたい。物理学会も協力してほしい」と言われたこと。2番目は、支部担当理事として支部の再編と他学会との連携の重要性を実感し、1) 関西で物理関連学会が連携して各種活動を実施する体制を、世界物理年行事を契機に構築したいと考えたこと、である。
昨年6月に阪大を中心とした6名程度の話し合いから始まり、9 月には物理、 応用物理、 物理教育の 3 学会関西地区の支部長にも参加して頂き関西独自の世界物理年行事の議論をした。その後、有志を募り、12月末に有志の全体会議において、NPO世界物理年関西委員会の設立を合意した。その後、4回の全体会議を経て、組織なども明確にし、現時点で上記3つを含む5つのプロジェクトが進行している。有志が集まるうちに、当初の予想を超える企画に成長していった。
一方、大学の知り合いに有志への参画を口にすると、「教育も研究もしている時間がない。忙しくて、忙しくて」という返事が返ってくる。最近の大学では独法化に伴い、競争的資金、自己(外部)評価、各種委員会、書類書きなどなど、皆、生き残りに必死だ。「このままでは日本の大学は機能不全に陥り死滅してしまう」という危機感を抱くに至った。この危機的な現状の認識は委員会活動の副産物だろうが、この現状への危機感を発信することも考えている。
「物理を知ることで人生が豊かになることを知ってほしい」、「子供たちが自分の頭で考える力を身につけてほしい」など有志の方々の参加動機は純粋である。 「損でも、 得でもない、 それらを超越した世界がボランティアであり、活動は自己実現への一歩である」と考えている。幸い、関西の多数の有志に支えられ、行事を通して大学の生活だけでは経験できない職種の方々との出会いも楽しんでいる。読者の皆さんも参加しませんか。
参考文献
1)高部英明:「物理学会10支部の活動の現状と今後の展望」日本物理学会誌59 (2004) 381。 
(2005年5月23日原稿受付)




 
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