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第4回(2026年)AAPPS-JPS Award の受賞者を以下の4名に決定しました。
第4回(2026年)AAPPS-JPS Award の受賞者を以下の4名に決定しました。
(受賞当時の所属先を掲載しております)
授賞理由及び選考経過報告
授賞理由の著作権は日本物理学会に帰属します。HP等にご転載をご希望の場合は、日本物理学会事務局・国際担当(kokusai-s@jps.or.jp)までお問い合わせください。
※50音順/敬称略
| 氏 名 | 神野 隆介 (じんの りゅうすけ) |
|---|---|
| 所属先 | 神戸大学大学院理学研究科・准教授 |
| 業績名 | 宇宙論的一次相転移の理論的研究 |
| 授賞理由 | 神野隆介博士は、宇宙初期の一次相転移に伴う重力波生成の理論研究、重力波生成率の解析的手法の拡張やドメインウォールへの摩擦力評価に対する粒子生成の影響を取り入れる定式化を確立した。構築した重力波モデルは、関連する観測プロジェクトの解析に採用され高く評価されている。また、数値的な解析でも新手法を提案し、大規模シミュレーションを可能にした。さらに、ニュートリノ物理、ソリトン、レプトジェネシス、ヒッグス宇宙論、機械学習応用など多岐にわたる研究を展開し、初期宇宙の理解に理論および現象学的視点から大きく寄与した。これらの顕著な業績は今後、観測的検証へと発展する可能性があり、その点からもAAPPS-JPS Award受賞者授賞に相応しい。 |
| 氏 名 | 谷 茉莉 (たに まり) |
|---|---|
| 所属先 | 京都大学大学院理学研究科・助教 |
| 業績名 | 日常に根ざしたソフトマター現象に潜む複合的な物理機構の解明 |
| 授賞理由 | 谷茉莉博士は、身近なマクロスケールのソフトマター現象を研究対象とし、そこに潜む普遍的な物理法則を、実験、理論、数値シミュレーションを統合した手法で解明する研究を推進している。特筆すべき業績の一つは、回転する円筒に巻き付く柔軟なフィラメントの形態に関するものである。この現象においては、3種類の安定な巻き付き形態が存在することを同定し、それぞれの形態の発現条件が、弾性力、重力、幾何学的因子の複雑なバランスによって決まることを、実験と理論の両面から詳細に明らかにした。この研究は、日常的に見られる現象に隠された物理法則を深く掘り下げた点で極めて独創的な研究である。その他に、平らな切り紙シートから特定の三次元形状を得る設計原理の確立、基材上の泡の掻き取りパターンとその機構解明など、ソフトマター物理をこれまでより広い対象に展開し、重要な知見を見出している。谷氏は、日常的な現象を対象とし、それらの系において、弾性、流体力学、幾何学、摩擦、重力など、複数の物理的因子が複雑に絡み合う物理法則の働きを見抜く卓越した洞察力を発揮し、これらの現象の根本的な理解を大きく深化させた。以上の顕著な業績はAAPPS-JPS Awardの受賞に相応しい。 |
| 氏 名 | 野入 亮人 (のいり あきと) |
|---|---|
| 所属先 | 理化学研究所創発物性科学研究センター・研究員 |
| 業績名 | 大規模誤り耐性半導体量子コンピュータ実現に向けた基盤技術開発 |
| 授賞理由 | 野入亮人博士は、半導体量子ドットに閉じ込められた単一電子スピンを量子ビットとして用いる半導体量子コンピュータの研究開発において重要な3つの成果を挙げた。第一に、量子操作の忠実度を99 %以上に高め、第二に、実用的誤り訂正の条件を満たす手法を確立して半導体量子ビット系で初めて論理量子ビット構築と誤り訂正の実証に成功し、第三に長距離二量子ビット結合技術を確立して大規模集積への道を拓いた。これらの顕著な業績は、論文として多くの研究者から引用され、量子情報科学および関連分野において、学術的に大きな影響を与えた。よって、野入博士はAAPPS-JPS Award受賞者として相応しい。 |
| 氏 名 | 水本 岬希(みずもと みさき) |
|---|---|
| 所属先 | 福岡教育大学教育学部理科教育研究ユニット・講師 |
| 業績名 | ブラックホール放出流に関する装置・観測・理論的研究 |
| 授賞理由 | 水本岬希博士は、超大質量ブラックホール降着円盤から噴き出す円盤風の X 線研究に大きく貢献した。特にウォームアブソーバーや超高速アウトフローの観測スペクトルを精確に再現する理論モデルを構築し、現在 X 線データ解釈に広く用いられる重要な枠組みを確立した。また、XRISM ミッションの中心的メンバーとして、SMBH 放出流の塊状構造の発見や、SMBH と中性子星からの放出流の対照的な性質など、主要な成果に貢献しており、観測条件の変動による性能変化を定量化することで、マイクロカロリメータ検出器技術の発展にも寄与している。理論・観測・計測機器の各分野にわたる広範な専門性を生かしたこれらの優れた研究成果は、水本博士が高エネルギー天体物理学の次代を担う研究者であることとともに、AAPPS-JPS Award受賞者の受賞に相応しい。 |
第4回(2026年)日本物理学会AAPPS-JPS Award選考経過報告
第81期AAPPS委員会*
本賞の選考は日本物理学会AAPPS委員会において行われるという受賞規程に従い、本年のC. N. Yang賞候補者のうち本会会員である方を候補として選考を行った。今回の候補者は7名であり、委員会が依嘱した書面評価の結果を踏まえて、2025年10月27日に選考委員会を開催し、合議審査を行った。評価に際しては、応募者の業績とその発展性、候補者の受賞対象の研究に対する貢献度、および研究者としての将来性について、多面的に議論を行った。その結果、4名の候補者がAAPPS-JPS Award受賞者としてふさわしいとの結論に達し、理事会に推薦し、承認を得た。
*第81期AAPPS-JPS Award選考委員会 委員
委員長 野尻浩之
委 員
(日本物理学会)
甲賀研一郎、下村浩一郎、田中貴浩、野海博之、三原智、
吉田善章、Yeom Han Woong、野尻美保子、松原正和、柳澤実穂
(応用物理学会)
モラル ダニエル




