JPSJ注目論文

JPSJ 2019年6月号の注目論文: 熱流が駆動するカイラル液晶滴の一方向剛体回転

熱流が駆動するカイラル液晶滴の一方向剛体回転

カイラルな液晶の滴に温度勾配を与えると、熱の流れる方向を軸として液晶分子が一方向に定速で回転する。古くから知られる交差相関の一つだが、近年この分子回転をめぐり、2つの解釈が対立している。それは、等方液体相と共存する滴に熱流が流れたとき、滴内の液晶分子は重心を変えずに向きを回すのか、それとも液晶滴全体が剛体として回転するのか、というもので、両者は顕微鏡観察や蛍光回復法では区別できない。本論文は、試料に分散させたトレーサー粒子の追跡というシンプルな手法で、熱流下のカイラル液晶滴が剛体回転することを明示した。さらに、回転する液晶滴の周囲の等方相には、通常と異なる流動場が生じている可能性が示された。

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原論文は以下からご覧いただけます。
Direct Observation of Rigid-Body Rotation of Cholesteric Droplets Subjected to a Temperature Gradient
Katsu Nishiyama, Shinji Bono, Yuji Maruyama, and Yuka Tabe、J. Phys. Soc. Jpn. 88, 063601 (2019).