JPSJ 2025年4月号の注目論文:磁場を「覚える」金属CeSb2〜重い電子系物質で観測した磁気形状記憶効果〜
室温でも安定な磁気形状記憶効果が重い電子系物質CeSb2において発見された。この物質は強磁場を印加することで磁化容易軸が切り替わり、その記憶が室温でも保持される。さらに、磁場印加方向を変えることで容易軸方向を繰り返し切り替えることができる。この物質は磁気異方性が大きなCe原子が特徴的な「パンタグラフ」構造を有しており、Ce原子間距離を保ったままパンタグラフの伸縮により軸切り替えが起きていると考えられる。今後、磁気メモリーや磁場による高速制御が可能なアクチュエーターなどへの応用が期待される。
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Novel Easy-Axis Switching through Metamagnetism in CeSb2
Atsushi Miyake, Ryuta Hayasaka, Hiroto Fukuda, Masaki Kondo, Yuto Kinoshita, Dexin Li, Ai Nakamura, Yusei Shimizu, Yoshiya Homma, Fuminori Honda, Masashi Tokunaga, Dai Aoki, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 043702 (2025).
JPSJ 2025年4月号の注目論文:フォノン熱伝導におけるモアレ模様の効果
原子層の結晶方位をずらして重ねたツイスト2次元物質では、非整合な格子のもたらすモアレ模様は様々な物性を変化させる。ツイスト二層系における音響フォノンが層間モアレポテンシャルによって強く結合することに着目して、その下での熱伝導率の影響が理論的に調べられた。その結果、モアレ結合したフォノンが本来の単層におけるフォノンよりも著しく低い速度を持つことで熱伝導率が強く抑制されることが明らかになった。さらに、これらの変化が、通常の2次元系の振る舞いから逸脱した特徴的な温度依存性をもたらすことも示された。
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Low-temperature Thermal Transport in Moiré Superlattices
Lukas P. A. Krisna, Takuto Kawakami, and Mikito Koshino, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 044602 (2025).
JPSJ 2025年4月号の注目論文:超量子極限状態における奇妙な絶縁化現象
金属に非常に強い磁場を印加すると全てのキャリアが最低エネルギーの量子状態に落ち込んだ量子極限状態が実現する。この状態からさらに磁場を増加した超量子極限状態になるとキャリアの運動の自由度は抑制され強相関状態になる。BiSb合金において強磁場下で超量子極限状態を実現してみると、磁場方向にだけ電気伝導が絶縁化しているように見える奇妙な状態が観測された。
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Insulating Behavior in the Quantum Limit State of Bi1-xSbx (x ~ 0.04) in the Vicinity of Semimetal-Semiconductor Transition
Yuma Yamaguchi, Takuya Fujita, Yuto Kinoshita, Akiyoshi Yamada, Atsushi Miyake, Ryota Hiraoka, Tatsuma D. Matsuda, Ryo Ninohira, Ryosuke Kurihara, Hiroshi Yaguchi, Yuki Fuseya, and Masashi Tokunaga, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 043701 (2025).
JPSJ 2025年4月号の注目論文:パイロクロア磁性体における4者間量子もつれに由来するトポロジカル相
ブリージングパイロクロア立体構造上のスピン1/2異方的ハイゼンベルク模型を用いて、多様なトポロジカル相が現れることが明らかになった。これらは4者間量子もつれに由来する相である。量子モンテカルロ法を用いた本研究により、多様な相を特徴づけるベリー位相の同定が行われ、これらが高次トポロジカル相であることが確認された。
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Topological Properties of Four-qubit Entangled Phases on the Breathing Pyrochlore Lattice
Katsumi Aoyagi, Yasuhiro Hatsugai, and Tohru Kawarabayashi, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 044702 (2025).
