JPSJ注目論文

JPSJ 2025年10月号の注目論文:高周波電流ノイズで探るカーボンナノチューブの電子散乱プロセス

カーボンナノチューブにおけるフォノン誘起電流雑音の周波数依存性が理論的に解析され、高周波領域では複数の共鳴ピークが現れることが明らかになった。これらのピークは特定のフォノン散乱に対応するだけでなく、一部は非調和フォノンの関与が示唆される。すなわち、高周波電流雑音の解析は、物質中で生じる複雑な電子・フォノン散乱プロセスに関する新たな「情報」を与えている。本成果は、ナノスケール物質における電子散乱の複雑さを捉える新しい計測手法を提示する重要な成果である。

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原論文は以下からご覧いただけます
Frequency Dependence of Phonon-Induced Current Noise in Armchair Carbon Nanotube
Raimu Akimoto, Aina Sumiyoshi, and Takahiro Yamamoto
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 104802 (2025).

JPSJ 2025年10月号の注目論文:磁性焦電体ならではの新しい電気磁気効果の発見

磁性と誘電性を併せ持つマルチフェロイック物質は、電気磁気効果を活用した省エネルギーデバイスへの応用が期待されている。これまで、その研究は主に電場で電気分極を反転できる強誘電体が中心で、電気分極が反転しない焦電体は見過ごされがちであった。最近、焦電性フェリ磁性体CaBaCo4O7において、外部電場の向きによってフェリ磁性相が安定化、あるいは不安定化する現象が発見された。これは焦電体特有の新しい電気磁気効果であり、今後の材料開発に新たな指針を与えるものである。

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原論文は以下からご覧いただけます
Magnetoelectric Effect Dependent on Electric Field Direction in a Pyroelectric Ferrimagnet CaBaCo4O7
Takumi Shirasaki, Masaaki Noda, Hinata Arai, Mitsuru Akaki, Haruhiko Kuroe, and Hideki Kuwahara
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 103702 (2025).