日本物理学会誌

第68巻 第9号

cover-13-09.jpg■表紙の説明
ドイツマインツ大学A1実験室にハイパー核・ストレンジネス物理研究のために用意した電磁スペクトロメータKAOS(右手前,紫,総重量120トン)および常設されている高さ約10メートルの3台の電磁スペクトロメータSpek-A(赤),B(青),C(緑):マインツ大学原子核研究所のMAMI(Mainzer Mikrotron)加速器が近年,アップグレードされたことにより高品質の電子ビームを用いたハイパー核研究が可能になった.ここで,ストレンジネスが生成されたことをタグし背景雑音を抑制するためにK+をKAOSで測定し,同時に電磁生成されたハイパー核が標的中に静止した後,弱い相互作用により二体崩壊して生じる π-をSpek-A, Cで運動量分析する「ハイパー核崩壊 π 中間子分光」という新しいハイパー核分光手法の確立を目指している.詳細は本号に掲載されている中村 哲氏らの「解説」記事を参照のこと.

■口絵
今月号の記事から 581

■巻頭言
PTEPことはじめ 坂井典佑 583

■解説
電子ビームを用いたラムダハイパー核の精密分光 中村 哲,藤井 優,塚田 暁 584
鉄系高温超伝導体の超伝導対称性と電子状態相図 芝内孝禎,松田祐司 592
ヘリウムプラズマ照射により高融点金属表面に形成されたナノ構造  髙村秀一,梶田 信,大野哲靖 602

■最近の研究から
バイオメカニクス:力学からみる生命現象 和田浩史 612

■JPSJの最近の注目論文から
5月の編集委員会より 安藤恒也 617

■PTEPの最近の招待・特集論文から
2013年2月号より 坂井典佑 620

■学界ニュース
第3回日本学術振興会「育志賞」:高山あかり氏 高橋 隆 622
第33回猿橋賞:肥山詠美子氏 上村正康 622

■シリーズ「"ポスドク"問題」
理工系ポスドク・博士人材のキャリアデザインと大学院改革 朝日 透,中里弘道,鈴木清貴 623

■ラ・トッカータ
フィレンツェ,ポスドク体験記 毛受弘彰 628
まずは根を張れ,実るのはその後からだ 大関真之 630

■新著紹介632
量子力学から超対称性へ;超対称性のエッセンスを捉える ; 杉野 文彦
相対論的量子力学 ; 松尾 衛