日本物理学会誌

第76巻 第5号

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■表紙の説明
100ギガ電子ボルト程度以上の高エネルギーガンマ線を放射する天体は現在200以上知られている.その観測研究には主に地上に設置された解像型大気チェレンコフ望遠鏡が用いられ,様々な天体の高エネルギーでのふるまいが理解されてきた.一方,星の死などに伴って放出されるガンマ線バースト(GRB)もまた,高エネルギーガンマ線での観測対象として期待されてきたが,長年の努力もむなしく検出に至っていなかった.2019年1月,遂に最初の検出例がMAGIC望遠鏡により報告された.その後もチェレンコフ望遠鏡によるGRB検出報告が相次いでおり,次期計画チェレンコフ望遠鏡アレイCTAにより理解がさらに進むと期待される.表紙はスペイン・ラパルマ島にあるCTA大口径望遠鏡1号基の写真(撮影:稲田知大)とGRB想像図(©東大宇宙線研/若林菜穂).詳細は本号に掲載されている野田浩司氏らの「最近の研究から」記事を参照のこと.


■巻頭言
未来の物理研究者への架け橋づくり  内山智香子 ...... 267

■解 説
断熱ショートカットとダイナミクスの構造  鳩村拓矢,高橋和孝 ...... 270

■最近の研究から
ついに捉えた宇宙ガンマ線バーストからのTeVガンマ線放射
野田浩司,高橋光成,深見哲志 ...... 278
位相の滑りが生み出す強制振動の回折的振る舞い
平岩聡彦,早乙女光一,田中 均 ...... 284
強磁性近傍のトポロジカル超伝導体――UTe2とUCoGeの理論予測
石塚 淳,大同暁人,栁瀬陽一 ...... 289

■実験技術
小型キュービックアンビル圧力セルの開発と静水圧性の評価
藤原直樹,上床美也 ...... 295

■話 題
暗黒物質直接探索実験XENON1Tによる電子散乱事象の超過観測
森山茂栄 ...... 302

■JPSJの最近の注目論文から
1月の編集委員会より  宮下精二 ...... 306

■歴史の小径
坂田昌一 ――素粒子論における物理と方法  西谷 正 ...... 308

■ラ・トッカータ
オンラインのソフトウェア講習会をやってみた  井戸康太 ...... 312

■追 悼
有馬朗人先生を偲ぶ  大塚孝治 ...... 314

■新著紹介 ...... 315
Monatomic Two-dimensional Layers; Modern Experimental Approaches for Structure, Properties, and Industrial Use:平山博之
プラズマプロセス技術;ナノ材料作製・加工のためのアトムテクノロジー:田中 学