日本物理学会誌

第77巻 第9号

cover-22-09.jpg■表紙の説明
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の直線偏光面が宇宙複屈折によって回転している様子を表しているイラスト.光と相互作用しパリティ対称性を破る仮説的粒子であるAxion-Like Particle(ALP)は暗黒エネルギーの源となりうる.直線偏光を持った光がALPで満たされた宇宙空間を伝達すると,光の偏光面がゆっくりと回転する.CMBは138億年前に発せられたビッグバンの残光であり,直線偏光を持っているため,我々に観測されるまでの間に偏光面が角度βだけ回転する.この現象は宇宙複屈折(cosmic birefringence)と呼ばれており,最近その兆候がβ=0.35±0.14度と観測された.理論的な議論により,この回転角度からALPの質量と光との相互作用の強さとの関係を決めることができる.詳細は本号に掲載されている藤田智弘氏,南雄人氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.(クレジット:Y. Minami/RCNP)


■巻頭言
会誌編集委員長として高須昌子 ...... 589

■交 流
機械学習とロボットは,研究者を「自由」にする  一杉太郎 ...... 592

■解 説
原子核中に起こるアルファ凝縮とクラスター構造形成の動力学  船木靖郎 ...... 602

■最近の研究から
宇宙複屈折――我々の宇宙はパリティ対称か?  藤田智弘,南 雄人 ...... 611
準結晶における磁気長距離秩序――20面体と磁気異方性がもたらす多彩な磁性とトポロジー  渡辺真仁 ...... 616
量子コヒーレンスによる流速・散逸のトレードオフの実効的無効化  田島裕康,布能 謙 ...... 621
二次元物質と三次元物質の間にある物性  守谷 頼,竹山 慶,笹川崇男,町田友樹 ...... 627

■歴史の小径
アナログ電子回路による潮位と高潮の予測――石黒鎭雄博士の業績  小栗一将 ...... 632

■JPSJの最近の注目論文から
5月の編集委員会より  宮下精二 ...... 636

■学界ニュース
第42回(2022年)猿橋賞:関口仁子氏  酒井英行 ...... 641

■新著紹介 ...... 642
物理数学;量子力学のためのフーリエ解析・特殊関数:高柳和雄
Berry Phases in Electronic Structure Theory; Electric Polarization, Orbital Magnetization and Topological Insulators:速水 賢