日本物理学会誌

第78巻 第11号

cover-23-11.jpg■表紙の説明
衝突型加速器の生成するニュートリノの検出に初めて成功したFASERの検出器.欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)においてFASERは2022年からデータ取得を開始した.LHCは約10 kmの直径を持つ.FASERの検出器はLHCの衝突点から接線上480 m地点にあるトンネルに配置され,全体で0.5 m×0.5 m×6 m程度の大きさである.写真右奥より飛来するニュートリノが最上流に設置したニュートリノ標的で反応し,ミューオンを生成する.このミューオンの飛跡を,写真に映るシリコン検出器,永久磁石,シンチレーション検出器を用いて再構成した.写真の提供元はCERNである.詳細は本号に掲載されている音野瑛俊氏の「最近のトピックス」記事を参照のこと.


■巻頭言
ローカルな学会の存在意義  山崎祐司 ...... 625

■最近のトピックス
FASERによるニュートリノと衝突型加速器の邂逅,新展開  音野瑛俊 ...... 628

■解 説
ハッブル定数問題と今後の展望  大栗真宗 ...... 630

■最近の研究から
4つの中性子からなる状態の観測  大津秀暁,下浦享 ...... 639
ダイマー反強磁性体を舞台としたトリプロンバンドのトポロジー 
那波和宏,佐藤卓,田中秀数 ...... 645
液体の動的構造――Van Hove相関関数の観測  篠原佑也,岩下拓哉,江上毅 ...... 651
水/氷界面で水と分離する未知の水  新家寛正 ...... 657

■JPSJの最近の注目論文から
7月の編集委員会より  宮下精二 ...... 662

■学界ニュース
Bryan R. Coles Prize:鈴木博人氏  藤森淳 ...... 667

■新著紹介
強光子場分子科学  須田亮 ...... 668
The Physics of Laser Plasmas and Applications - Volume 1; Physics of Laser Matter Interaction  田中周太 ...... 668