日本物理学会誌

第79巻 第1号

cover-24-01.jpg■表紙の説明
表紙の図は,小惑星探査機「はやぶさ2」が地球近傍C型小惑星リュウグウから採取した粒子である.「石の物質分析」初期分析チームは,J-PARCのミュオンビームラインを用いて小惑星リュウグウの最も基本的な情報である平均元素組成を決定した.この分析法の最大の利点は,従来の電子由来の特性X線と比べ,負ミュオン由来の特性X線はエネルギーが約200倍大きく,1 cm程度の岩石試料内部の軽い元素を透視できることにある.この特長を活かし,希少なリュウグウ試料123 mgの炭素,窒素,酸素を含む主要元素の組成を,地球大気に晒すことことなく非破壊で決定した.その結果,揮発性元素に富み太陽組成に最も近いCI型炭素質隕石と似ていることが明らかになった.これは小惑星リュウグウは太陽系誕生以来,大規模な化学分別を経験していないことを意味する.詳細は本号に掲載されている寺田健太郎氏,二宮和彦氏の「最近の研究から」記事を参照のこと(画像提供:©ISAS/JAXA).


■巻頭言
ベテラン会員諸氏,大会では英語で一般講演をしよう!  長谷川修司 ...... 1

■交 流
経済現象とネットワークの科学  藤原義久 ...... 4

■最近の研究から
3次元ディラック半金属によるテラヘルツ高次高調波発生  松永隆佑,神田夏輝,池田達彦 ...... 12
固体中のスピン量子ビットのコヒーレンスに対する一般化スケーリング  金井 駿 ...... 18
素粒子ミュオンによる小惑星リュウグウの非破壊元素分析  寺田健太郎,二宮和彦 ...... 24

■ラ・トッカータ
博士号取得者はどこでも活躍できる!  宮下 哲 ...... 30

■JPSJの最近の注目論文から
9月の編集委員会より  宮下精二 ...... 32

■PTEPの最近の注目論文から  林 青司 ...... 34

■学界ニュース
2023年ノーベル物理学賞:Pierre Agostini氏,Ferenc Krausz氏,Anne L'Huillier氏
――物質中の電子ダイナミクスを研究するためのアト秒パルス光の生成に関する
実験的手法の業績
板谷治郎 ...... 36
第23回素粒子メダル:米谷民明氏  向田享平 ...... 37

■新著紹介
工学系のためのレーザー物理入門  渡邉紳一 ...... 38
超伝導;直観的に理解する基礎から物質まで  吉澤俊介 ...... 38