日本物理学会誌

第81巻 第10号

cover-26-10.jpg■表紙の説明
表紙絵は,Si(111)基板上に成長した数原子層厚のインジウム薄膜において,膜厚を1原子層変えるだけで,走査トンネル顕微鏡(STM)の探針-試料間から放出される光の波長が変化する様子を表している.STMを流れるトンネル電子の一部は,探針直下のナノメートルスケールの空間に局在する表面プラズモンを励起し,その放射減衰によって光を放出する.この発光スペクトルは,トンネル過程に関与する試料の電子状態を反映する.インジウム薄膜中では,膜厚方向への電子の閉じ込めによって離散的な電子状態が形成され,そのエネルギーは原子層数に応じて変化する.このエネルギー準位の違いを反映して,発光スペクトルも1原子層ごとに変化する.詳細は本号に掲載されている黒石健太氏,奥山弘氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.


■巻頭言
会誌の近況とこれから  大原繁男 ...... 539

■解説
評判にもとづく協力行動の数理  村瀬洋介,藤本悠雅,大槻 久 ...... 542
アクシオンの揺らぎのダイナミクスとその応用について  佐藤亮介 ...... 551

■最近の研究から
1原子層ごとに変化するSTM誘起発光特性  黒石健太,奥山 弘 ...... 561
インフレーション宇宙における重力的粒子生成――2つの異なるアプローチの探究
金田邦雄 ...... 566

■ラ・トッカータ
ビックサイエンス,ITER,で働くこと  宗近洸洋 ...... 572

■JPSJの最近の注目論文から
6月の編集委員会より  播磨尚朝 ...... 574

■新著紹介
入門弦理論  西村 淳 ...... 576
宇宙線のひみつ「宇宙最強のエネルギー」の謎を追って  大平 豊 ...... 577