世田谷区中学生講座(世田谷区教育委員会、日本物理学会物理教育委員会)

2021年度 世田谷区中学生講座(新・才能の芽を育てる体験学習:サイエンス・ ドリーム)

世田谷区教育委員会主催、日本物理学会協賛の「世田谷区中学生講座(新・才能の芽を育てる体験学習:サイエンス・ドリーム)」では世田谷区立中学校在学の中学生及び世田谷区内在住の中学生を対象に、物理や科学に対する驚きや楽しさを体感してもらうことを目的として、普段の授業では体験できない実験や施設の見学などの連続講座を行っております。
昨年度はコロナ禍のため実施を見送りましたが、今年度は会場を世田谷区教育センターの会議室に移し、3つの密を避けつつ2テーマの講座を行ないました。

お問合せ先 : 世田谷区教育委員会事務局 生涯学習・地域学校連携課 
TEL : 03-5432-2739

新・才能の芽を育てる体験学習「サイエンス・ドリーム」(全2回)

会場
日時


定員
世田谷区教育センター「ぎんが」

日時 7月31日(土)、8月8日(日)
両日とも13時30分~15時30分まで

両日とも2テーマを開催し、定員は各10名

第1回(7月31日)「太陽電池とLEDを使って光通信実験」(参加者数:18名、欠席2名)

ブレッドボードを用いて電子回路製作を行いました。はじめに、ブレッドボードの構造を学ぶ目的で、白色LEDと抵抗、電池ボックスをつなぎ、LEDを点灯させました。さらにLEDをメロディーICに置き換え、そのメロディーをイヤホンで聞くところまで行いました。
つぎにこのメロディーICの出力をLEDの点灯(点滅)にして「光送信機」を作りました。さらに太陽電池とイヤホンを組み合わせた「光受信機」をつくり、メロディーICの音楽を「光通信」して聞くことができました。
最後に、各自のスマートホン等のスピーカー出力を「光送信機」の音源として実験を行いました。この最後の実験では、最近のスマートホンにはイヤホンジャッ ク(ミニジャック)が搭載されていないものが多いことを、その場で気付くなど、トラブルもありましたが、他の生徒の音源や講師が持参した幾つかの音源を使って実験を行うことが出来ました。ケーブルテレビの普及などで「光通信」という言葉は身近になっていますが、手軽な電子工作で光通信を体験することが出来たことはよい経験になったと思います。

 

 

第2回(8月8日)「白ってなにいろ?-光を混ぜて「白色」をつくってみよう―」 (参加者数:17名、欠席3名)

まず「色を分ける」話からはじまり、フィルム回折格子とお菓子の箱を使って分光器を作成しました。部屋の中のLED照明等を観察しました。分光されて赤や青の光が違う位置(角度)に分かれることを確認し、大学から持参した簡易分光計(PC上でスペクトルを表示できるもの)を使い、「位置」が「波長」に対応して定量的に計測できることを見てもらいました。
つぎに3色のLEDを用いて「三原色混合器」[1]を作成しました。あらかじめ木の板にLED用の穴を空けておき、さらに端子用の釘を打ちつけておきます。抵抗、3つのLEDの足を、向きを間違えないように上手に折り曲げて端子の釘に巻き付け、最後はスタッフがハンダ付けを行いました。ディフューザー代わりのピンポン球を動かすと、赤、緑、青、それらの混じった色を観察することが出来ました。素子の個体差もありますが、真っ白に近い状態を作り出せた生徒もいました。
「分光」「波長」から「RGB」「カラーサークル」「補色」等、難しい言葉がたくさん登場した講座でしたが、体験した現象は身近なものばかりで、満足度は高かったようです。
[1] たとえば、霜田光一「自作できる光の三原色混合器」、青少年のための科学の祭典2016 全国大会、No.11。

 

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今年度は生徒の移動距離・時間を抑える目的で世田谷区内の施設で実施したことで、大学の実験室や研究設備に触れる機会がありませんでしたが、コロナ禍で様々のイベントが中止されている中での理科実験講座は、多くの中学生・保護者の方々に注目して頂けたようです。両日で計40名定員に対し、98名の応募がありました。