JPSJ注目論文

JPSJ 2025年12月号の注目論文:超伝導は津波の夢を見るか?

岩砂漠のようにでこぼこした乱れた背景を、津波のような段差構造が走っていき、そしてある瞬間に振動を引き起こして引き返す......そんな描像の厳密解を持つ古典可積分系(ソリトン方程式)が新たに提唱された。驚くべきことに、この方程式は流体力学的考察ではなく、物性物理学におけるパリティ混合超伝導・超流動の理論から導かれた。

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Tsunami Solitons Emerging from Superconducting Gap
Daisuke A. Takahashi
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 123001 (2025).

JPSJ 2025年12月号の注目論文:統計的推論と統計力学の交差点を再考する

統計的推論とは,データに基づいて興味ある対象に関する情報を抽出し活用する情報科学の方法である。統計力学は推論時に生じる現象を解明するための強力な方法論の一つであるが、既存研究のほとんどは問題設定の極端な単純化を必要とし、実データを用いたデータ分析に定量的な予言を与えることが難しかった。本研究では統計力学のレプリカ法と呼ばれる方法に大正準集団の考えと変分法を組み合わせることで、実データでの推論に対しても定量的な予言を与えられることが示された。

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Variational Gaussian Approximation in Replica Analysis of Parametric Models
Takashi Takahashi
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 124801 (2025).

JPSJ 2025年12月号の注目論文:理論から直接評価する微弱な磁気相互作用と磁気的性質

磁性体の性質は電子のもつスピン自由度がどのように並ぶかで決まる。多様なスピン配置が豊かな磁気・量子物性を産んでいるが、それらの配置はスピン間にはたらく相互作用で決まる。本研究では、量子力学の原理に根差した幅広い理論計算手法において、様々なスピン間相互作用を系統的に評価する汎用的な枠組みを構築した。これは、機能磁性体や量子材料の予測・探索・設計の研究を大いに加速する。

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Calculation of the Biquadratic Spin Interactions Based on the Spin Cluster Expansion for Ab initio Tight-binding Models
Tatsuto Hatanaka, Juba Bouaziz, Takuya Nomoto, and Ryotaro Arita
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 124709 (2025).

JPSJ 2025年12月号の注目論文:量子で見る小さな場所の圧力分布

ダイヤモンドアンビルセル(DAC)は数十~数百GPaの高圧力を発生できる装置であり、極限環境における物性研究に広く利用されている。NV(窒素-空孔)中心を含むナノダイヤモンドを量子センサーとして高圧試料室内部に配置し、光学的イメージングにより圧力分布と非静水圧性という圧力環境を直接可視化することが報告された。高圧下での物性研究に新たな展開が期待できる。

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GPa Pressure Imaging Using Nanodiamond Quantum Sensors
Ryotaro Suda, Kenshin Uriu, Kouki Yamamoto, Misaki Sasaki, Kento Sasaki, Mari Einaga, Katsuya Shimizu, and Kensuke Kobayashi
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 124707 (2025).