第81巻 第7号
■表紙の説明
表紙の写真は,著者自身が作製したビスマス結晶である.ビスマスは磁場に対してきわめて敏感に応答する物質で,19世紀から磁場測定に利用されてきた.20世紀初頭のカピッツァによる精力的な研究,さらにシュブニコフとド・ハースによる量子振動の発見を経て,その巨大な電流磁気効果は,強磁場物性研究の格好の舞台であり続けている.電流磁気効果は,磁場によって電流の大きさや向きが変化する現象であり,測定結果を解析することは,物質固有の電子状態を知るための基礎的かつ重要な手段となっている.本稿で紹介する量子- 古典対応も,ビスマスにおける電流磁気効果の研究を一つの契機として見いだされた.実験解析のために電流磁気効果の理論を見つめ直す中で,量子論と古典論の間に思いがけない対応関係が浮かび上がってきた.詳細は本号に掲載されている伏屋雄紀氏,山田暉馨氏の「最近の研究から」記事を参照のこと.
■巻頭言
これからの物理教育 初田真知子 ...... 357
■解説
星間有機分子研究の課題と精密分光装置「SUMIRE」の挑戦 坂井南美,小山貴裕 ...... 360
ブラックホールの情報損失問題とそれに纏わる発展 飯塚則裕 ...... 370
■最近の研究から
量子と古典の新しい対応関係――強磁場物性研究の現場から 伏屋雄紀,山田暉馨 ...... 379
ニュートリノ集団振動がもたらす爆発天体現象におけるニュートリノ輸送計算の新展開
財前真理 ...... 385
■学会の歩み150年 Part 1 通史記事
70周年・140周年,欧文誌と大会の改革,コロナ禍の中の学会:2016-2020
物理学史資料委員会 学会150年史連載編集グループ ...... 391
■ラ・トッカータ
"物理をやめた"と思いきや――研究支援の現場で感じたこと 渡邊篤史 ...... 392
■JPSJの最近の注目論文から
3月の編集委員会より 播磨尚朝 ...... 394
■科学研究費
令和7年度科学研究費助成事業(科研費,基盤研究等)審査結果報告
片山郁文,石﨑章仁,倉本圭,千徳靖彦 ...... 397
■学会報告
2026年春季大会 シンポジウムの報告 領域委員会 ...... 401
■学界ニュース
科学技術分野の文部科学大臣表彰 ...... 405
■新著紹介
材料系の固体物理学 浅野建一 ...... 406
ボーアとアインシュタインに量子を読む;量子物理学の原理をめぐって
河野洋人 ...... 407
■支部だより ...... 409
