JPSJ注目論文

JPSJ 2008年12月号の注目論文

「粉体のジャミング転移を記述する普遍法則」

砂や岩石などのマクロ粒子集団(粉体)の流動・停止の変化(ジャミング転移)に関する実験やコンピュータシミュレーションがこれまで数多く行われてきた。東京大学地震研究所の波多野恭弘特任助教は、これらの結果を統一的に説明する法則---ジャミング転移が強磁性転移や超伝導転移と同じような相転移として記述されること---を見出した。
理論物理学分野と固体地球科学分野の学際領域を切り開く研究成果として、多くの研究者の注目を集めている。
なお、本研究に関連した、早川尚男氏による解説 “New Scaling Laws for the Jamming Transitions”がJPSJのNews and Comments欄 http://dx.doi.org/10.7566/JPSJNC.5.13 に掲載されている。
どなたでもアクセスできるので、ご参照いただきたい。


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「重い電子系超伝導体CeCu2Si2の価数揺らぎ超伝導機構の検証
--Cu-NQRからのアプローチ」

超伝導体CeCu2Si2に圧力をかけていくと、超伝導転移温度が3万気圧以上で2倍以上上昇する。島根大学の藤原賢二准教授らはこの高圧下でCu核の核四重極共鳴(NQR)実験を行い、価数揺らぎ---セリウムイオンの価数、3価と4価、が空間的に互いに影響を及ぼし合いながら変動するもの---を媒介とする新しい超伝導メカニズムを示唆する超伝導特性を見出した。
フォノン(BCS)機構、電子スピンの揺らぎ機構に続く、価数揺らぎ機構による超伝導の解明に向けた実証研究の大きな一歩として、多くの研究者の注目を集めている。
なお、本研究に関連した、三宅和正氏による解説 “New Wave of Superconductivity in Correlated Metals” が JPSJのNews and Comments欄 http://dx.doi.org/10.7566/JPSJNC.5.14 に掲載されている。
どなたでもアクセスできるので、ご参照いただきたい。


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