会長メッセージ

会長メッセージ

 第75期に引き続き第76期の(2020年3月31日~)会長を務めます永江知文です。今期の副会長の田島節子さんは次期会長予定者の副会長です。この一年間で、会長職を上手く引き継いでいきたいと思います。

 会長を務めてきましたこの一年を振り返りますと、前期川村会長が進められた次世代人材育成プロジェクトのもとに社会との連携を強化し、広く産業界に学会から人材を供給するとともに社会からの御支援を受けやすい寄付金受け入れ体制を整備して参りました。高校生を対象としたJrセッションのポスター発表会場の活気にはセブン&アイ・ホールディングスからの御支援が寄せられました。科学セミナーや公開講座にも多くの一般参加者の皆さんが詰めかけていただいています。例年のノーベル物理学賞の発表時期には、本会のホームページにたくさんのアクセスがあり、物理学に対する一般の皆さんの興味の高さを痛感させられます。と同時に「物理学の進歩普及を図り、もって学術の発展に寄与することを目的とする。」という本会の定款に謳われている目的に向かってますますの努力をしなければと気が引き締められます。

 昨年は、「ヘリウムリサイクル社会を目指して」という声明を、関連6学会、2研究機関連絡会と39機関とで発表させていただきました。海外からの輸入に100%依存する我が国では、ヘリウムは貴重な資源であり大きな社会問題であることを指摘したものです。

 海外の物理学会との連携は益々深まっています。川村会長時にカナダ物理学会(Canadian Association of Physicists)との間で相互協力協定を結んだのに引き続き、イタリア物理学会(Italian Physical Society (SIF))との間でも相互協力協定を結ぼうとしています。(これで13ヶ国目となります。)また、アジア太平洋地域ではAAPPS(Association of Asia Pacific Physics Societies)の中心メンバーの一つとして活躍してきており、昨年のカウンシル会議では、日本物理学会のカウンシルメンバーの横山順一氏(東大)が新しくPresidentに選出されました。物理学会としても応用物理学会とも協力して横山氏を支援していきたいと考えています。まずは、現在三つしかないDivisions(プラズマ物理、原子核物理、天文・宇宙・重力)を拡充することが考えられています。(Solid State Physics, Particle Physics, Soft matter等の分野で議論されています。)

 この一年を締めくくるに当たり、新型コロナウィルスの蔓延による年次大会の現地開催を中止しなければならなかったことに触れねばならないのが残念です。名古屋大学の皆さんには長い間準備をしていただいたにも関わらず、申しわけありませんでした。多くの学会員の方々にもご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。まだまだこのウィルスの影響は収束しそうになく、予断を許さない状況が続くかと思われます。物理学会としてもできる限りの対策を講じていく所存です。皆様のご理解とご協力をお願いします。

第76期会長
永江 知文
NAGAE Tomofumi
(第76期 会長任期:2020年3月31日より2021年3月31日)