論文賞・若手奨励賞・物理教育功労賞

日本物理学会若手奨励賞制定の経緯について

第61期 日本物理学会理事会 (会誌 Vol. 61, No.12, 2006)

日本物理学会は将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するために本賞を設けることとしました。多くの学会がこのような賞を設けて若手の育成に役立てており、若手が就職する際にも受賞記録がポイントとなるなかで、物理学会の若手は不利であるおいう指摘もあり、新しい賞の新設に踏み切ったものです。大きな大学、研究所への就職では、賞の記録より論文のなかみで勝負するのだからこのような賞は無意味である、という意見も強かったのですが、物理学会の若手が応募する職種には、物理学全般、自然科学、などの広い範囲の公募の場合も多くなり、専門分野における専門的評価ではなく、学会賞の受賞歴などが考慮される度合いが増えています。物理学会だけが孤高を保っていては、若手の育成にとってマイナスになる可能性があります。

本賞の受賞対象者は、領域を基本とし、各領域に基本枠1名、さらに、過去3回の年次大会における講演者数(招待講演、シンポジウム、ポスターも含む、ただしパネルなど複数登壇者のあるものは除く、複数領域共催も含む)に比例して定員を割り振り、全体として50名程度以下となるよう調整しました。なお、秋季(春季)大会は複数登壇もあることから、各領域の実数を見るには不向きであるので本件データの対象とはしません。各領域における受賞者数の上限は、過去3年間の学会発表における当該領域の平均占有率(%)×0.31+1を四捨五入しています。この公式に基づき算出された各領域ごとの受領者の数は会誌会告欄の募集要綱中の表に掲げる通りです。各領域の受賞者数定員を足し合わせると総勢51名となりますが、あくまでこれは上限でありますので、実際の受賞者数はもっと少なくしても構わないことになります。

本賞の名称は日本物理学会若手奨励賞とし、賞状には授賞した領域名も併記します。人によっては複数の領域での授賞も可能となることが予想されますが、授賞領域の判断によって運営することとしました。このように、受賞の対象は各領域で決定いたします。選考の際に授賞対象が学会講演、学術論文、学位論文など、本賞の趣旨に合致するものであること、若手受賞者は物理学会会員に限ることとし、それ以外は各領域の判断により、別の基準を設けても良いということになっています。授賞式は各領域で行い、学会長名で賞状を授与します。もちろん、各領域が勝手に賞を出すのではなく、理事会で審議し、承認された選考規定に従って各領域が候補者を選びます。領域の推薦を受けて受賞者は理事会で決定します。受領者は受賞後最初の年次大会で受賞記念講演を行うこと、受賞者はこの講演のときに限り大会参加費を免除することになっていますが、領域によっては副賞を設けても差し支えありません。また、外国にいる、病気療養中など、やむをえない場合には、理事会の判断によって講演を行うことが免除されます。受賞記念講演は2007年の年次大会(予定開催地北大)から始める予定です。受賞記念講演(30分程度が目安になります)は従来のシンポジウムと同様のスタイルで各領域内で行って頂き、領域ごとの人数は2010年の年次大会で行われる受賞対象者から見直します。

今回若手奨励賞について学会の全領域で準備が整うまで待つことなく、準備のできた領域から授賞を開始することとしました。過去の経験から、全領域で準備が整うまで待つと、各領域には固有の事情もあり、結局いつまでたっても発足できない可能性が高いという判断によるものです。幸いにして大多数の領域で既に実施要綱案が出され、物理学会理事会で承認されております。また承認された実施要綱案は若手の定義も含めて多くの部分で共通したものとなっていることを申し添えます。なお、多くの領域の実施要綱で同じ年度内の複数領域での応募を禁止しております。それらの要綱を尊重するためにも応募段階で自薦の場合は、各年度では複数の領域に応募しないことを心がけ、各領域で選出後に、候補者に連絡する際に複数領域で候補者になった場合にどの領域での賞として受けるかを確認して頂けると助かります。最終的に全領域から推薦された受賞候補者リストを理事会が受理した後でも、複数の領域で名前が上がった候補者には理事会から意思確認の連絡をする予定となっております。