「その研究は何の役に立つんですか？」研究発表やプレスリリースはもちろん、研究費の申請でもそんな質問をされることが増えました。聞かれるたびにどう答えようかと悩んでしまいます。「知的好奇心からです」というだけでは響かない。（いろんなスペクトルはあるとは思いますが）物理学のような基礎的な学問の宿命なのかもしれません。しかし手をこまねいているだけではいけない。これから学ぶ若者へのメッセージでもあるからです。副会長就任にあたって、自分が日本物理学会に入会したときのことを思い出しました。先生に入会紹介のサインしていただいたハガキを手に、自分が学者のコミュニティに加われることに興奮したものです。初心を忘れず務めたいと思います。

「物理はおもしろい」との原点に立って、会員の皆様の重要な成果を共有でき、特にそのわくわく感を広く伝えることで、まずは会員自身が会員であることの充実感が増えるような雰囲気を高めていければと思います。会員の皆様の活動をポジティブかつ積極的にサポートし、日本物理学会が会員の皆様のより具体的で近い存在と感じていただけるようになればと思います。さらにその雰囲気が、学部生、高校生、さらには一般社会にも伝わり、「物理はすごい」と思ってもらえればと思います。そのように物理への関心の向上にもつながるような仕組みについても考えていきたいと思います。日本物理学会は多くの物理学の分野の集まりですがその基礎は同じです。その多様性と共通性を活かし、さらには関係他学会などとも共同してサイエンスが進められることを願っています。