日本物理学会誌

第54巻 第9号(1999)

cover9909.jpg表紙から
1次元のトンネル効果では, 古典的に運動不可能な領域に指数的に減衰する一 成分波だけがトンネル確率を担う。一方, トンネル現象がカオス存在下でおこ ると, 時間とともにその数が指数関数的に増大していく, 多数のトンネル成分 波がトンネリングに関与し, それらはトンネル領域で干渉をおこす。図は, カ オスを発生する典型的なモデルで計算した, トンネルに寄与する成分波(半古典的波動)の初期条件の場合。紐状構造の1本がひとつのトンネル成分波を表す。中央に斜めに伸びる直線状の連鎖構造が最も寄与の大きい成分波になっている。詳細は本号, 解説記事参照。(東京都立大学理学研究科 首藤 啓氏, 立命館大学理工学部池田研介氏提供)


巻頭言
三浦 登: JJAPの将来と欧文誌刊行会
交流
佐藤啓文、平田文男: 水の物性に見る量子化学的および古典統計的自由度の結合
解説
笠井秀明: 金属表面での磁性原子の振舞-近藤効果の実空間像-
秋本晃一: X線で見る界面の原子配列
首藤 啓、池田研介: カオス的トンネル効果
最近の研究から
山中 卓: CPの破れの起源をめぐって
徳永 陽、石田憲二、北岡良雄、伊原英雄: Cu系多層型高温超伝導体における二つの超伝導転移温度
胡  暁: シミュレーションでみた高温超伝導の磁束状態と相転移
松本和彦、後藤芳孝、前田辰郎: AFM微細加工法による室温動作単一電子素子
学術会議だより
郷 信広: 日本学術会議の改革へ向けた動き
新著紹介
(短)近  匡: J.Allday: Quarks, Leptons and the Big Bang
永長直人: 草部浩一・青木秀夫: 多体量子論Ⅰ; 強磁性
戸谷友則: M.Harwit: Astrophysical Concepts, 3rd ed.
名島隆一: A.G.Grozin: Using Reduce in High Energy Physics
十河 清: C.Cercignani and D.H.Saattinger, ed.: Scaling Limites and Models in Physical Processes
編集後記
徳本 圓