日本物理学会誌

第59巻第5号

cover0405.jpg表紙から
超冷中性子に働く強い力、電磁気力、弱い力、そして重力をイメージした絵である。超冷中性子のド・ブロイ波長は500 A以上で(図ではこの広がりを反映して、超冷中性子の大きさを大きくしている)、物質中の原子の間隔、数Aよりも大きい。超冷中性子は重力で落下し (100 neV/m)、磁気ポテンシャル(60 neV/T)で跳ね返され、容器のフェルミ・ポテンシャル(58Niで335 neV)で跳ね返されるので、容器内に留まる。その後、弱い力によって陽子と電子、そしてニュートリノに崩壊する。詳細は本号掲載の実験技術欄参照。(高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所 増田康博提供)


巻頭言
梶田晃示:新しいJPSJ
2005世界物理年によせて--子供たちに物理の楽しさを--  
久保謙一
追 悼
藤井保彦:星埜禎男先生を偲んで
解 説
細谷暁夫:ブラックホールと量子情報理論i
秋葉康之、浜垣秀樹:RHICでの高エネルギー原子核衝突実験の幕開け
実験技術
増田康博:中性子の閉じ込めと新しい超冷中性子源
最近の研究から
福井康雄:超新星と宇宙線陽子の加速
石橋広記:スピネル型化合物CuIr2S4のX線誘起構造変化と電気伝導
歴史の小径
今野宏之:ボーアの原子構造論の歴史的意味
学術会議だより
江沢 洋:学術会議改革の法案、国会へ
新著紹介
吉沖周三:V. Buch and J. P. Devlin, ed.「Water in Confining Geometries」
山崎義弘:F. Schweitzer「Brownian Agents and Active Particles, Collective Dynamics in the Natural and Social Sciences」
江沢  洋:山本義隆「力と重力の発見;1. 古代・中世、2. ルネサンス、3. 近代の始まり」
堀田貴嗣:J. M. Vail「Topics in the Theory of Solid Materials」
会員の声
■吉田晴代氏「日本の実験物理学の草分け-田中舘愛橘-」を読んで
編集後記
花栗哲郎