日本物理学会誌

第67巻第04号

cover-12-04.jpg表紙から

グラフェンに対して円偏光レーザーを照射すると光誘起量子ホール状態になることが提案されている.左図は円偏光によって蜂の巣格子上に生成されるDCホール電流(矢印)の例.これは非平衡状態であり,もともとゼロギャップであったディラック・コーンがレーザー光照射下ではFloquet擬エネルギー・バンドになり,そのエネルギー分散(右上のパネル)にはダイナミカルにギャップが開き,これに伴ってChern密度(右下のパネル;Berry曲率といってもよい)が光誘起される.2個あるディラック点(ここでの拡張帯では6個にみえる)で同符号のChern密度となるため,トータルで光誘起DCホール効果をもたらす.ここでは図を見やすくするため,レーザーのフォトン・エネルギーや強度を大きく取っている(冷却原子気体では可能と考えられる).詳細は本号に掲載されている岡 隆史氏,青木秀夫氏の「解説」記事を参照のこと.


■口絵
今月号の記事から223
■巻頭言
領域委員長として 北本俊二 225

■解 説  
カイラル動力学とK中間子を含むハドロン分子的状態
兵藤哲雄,慈道大介 226
強相関系の非平衡物理 岡 隆史,青木秀夫 234

■最近の研究から  
正準基底表示の時間依存平均場理論と超流動原子核の線形応答
中務 孝,江幡修一郎 243
金属薄膜と積層欠陥でつくる低次元電子系 内橋 隆 247
パルスパワー技術に基づいた高エネルギー密度科学の展開 堀岡一彦 252
ユニタリー極限におけるフェルミ原子気体の普遍的熱力学
堀越宗一,向山 敬,上田正仁 257

■JPSJの最近の注目論文から 12月の編集委員会より 川畑有郷 262

■学界ニュース  
2011年Hannes Alfven賞:Patrick Diamond氏,長谷川晃氏,三間圀興氏266
2011年ゴードン・ベル賞(最高性能賞):スーパーコンピュータ「京」
による100,000原子シリコン・ナノワイヤの電子状態の第一原理計算
常行真司 266
平成23年度西川賞:石橋拓弥氏,林崎規託氏,諏訪賞:超伝導リング
サイクロトロン建設グループ,特別賞:吉井正人氏他7名266

■追 悼  
武藤芳雄先生のご逝去を悼む 小林典男 267
森 肇先生を偲んで 蔵本由紀 268

■新著紹介269
・いきいき物理わくわく実験3:種村雅子
・液晶の歴史:福田順一

■編集後記 藤谷 洋平