日本物理学会誌

第68巻 第1号

cover-13-01.jpg■表紙の説明
太陽以外の恒星を回る惑星である太陽系外惑星(系外惑星)が初めて発見されたのは1995年のことである.近年では,海が表面に存在可能な惑星の候補までが報告されるようになった.いまや系外惑星は,天文学が扱う一天体という枠組みを超え,生命が宿りうる場所は地球の他に存在するのか,その母体である惑星系はいかに形成されるのか,という普遍的な問いに答えうる学際的な対象となりつつある.とはいえ,系外惑星は非常に遠くに存在するため,これを詳しく調べるのは容易ではない.例えば,地球のような系外惑星の写真を撮って,大陸や海洋の分布を見ること(マッピング)は,月に置いたビー玉の模様を地球から見るようなもので,こんなことは今世紀中の実現は不可能そうである.しかし,惑星からの光の時間情報を用いると惑星表面の二次元マッピングが可能になって,近いうちに第2の地球の世界地図を手に入れられる日がくるかもしれない.本文では,最近,始まりつつある系外惑星のマッピング研究についての紹介を行っている.詳細は本号に掲載されている河原 創氏らの「交流」記事を参照のこと.


■口絵
今月号の記事から 1

■巻頭言
会長になって良かったこと 家 泰弘 3

■交流
太陽系外惑星をCTスキャンする 河原 創,藤井友香 4

■解説
アンテナ過程を含む交流回路理論と電磁ノイズの削減 土岐 博,佐藤健次 11
トポロジカル秩序とベリー接続 初貝安弘 19

■最近の研究から
K中間子水素原子X線精密分光実験の拓く物理  岡田信二,早野龍五,兵藤哲雄,池田陽一 29
単層カーボンナノチューブにおける多重励起子生成 小鍋 哲,岡田 晋 34

■話題
宇宙レーザー干渉計が切り拓く重力波天文学 瀬戸直樹,八木絢外,安東正樹 38

■JPSJの最近の注目論文から
9月の編集委員会より 安藤恒也 43

■学界ニュース
2012年度ノーベル物理学賞:S. Haroche氏,D. J. Wineland氏
―個々の量子系に対する計測と操作を可能にする画期的な実験的手法 山本喜久,占部伸二 46
第27回西宮湯川記念賞:福嶋健二氏 初田哲男 47

■談話室
注目論文(Editors' Choice),その成績は? 米永一郎 48
JPSJ編集委員長からのコメント 安藤恒也 49
SCOAP3の現状,課題そして展望 安達 淳 50

■追悼
追悼:B. D. Serot教授(1955-2012)松井哲男,上地 宏 52
杉本健三先生を偲ぶ 中井浩二 53

■新著紹介54
Field Theory of Non-Equilibrium Systems : 内海 裕洋 54
準結晶の物理 : 石井 靖 54