日本物理学会誌

第68巻 第6号

cover-13-06.jpg■表紙の説明
左上は,「超広角コンプトンカメラ」の写真.Si両面ストリップ検出器2層,CdTe両面ストリップ検出器3層,計5層の検出器から構成される.右上は,福島での実地試験で取得したデータに対し,放射性物質から放出されるガンマ線のエネルギーと合致するイベントを選択したのち,コンプトン散乱の運動学から求まるガンマ線の入射方向を天球に投影したもの(バックプロジェクション画像).黒色がガンマ線の強度が高い方向を示し,実際に,矢印で示した場所に最大30マイクロSv/h(地上1 cm)のホットスポットを確認した.空間線量は2-3マイクロSv/h程度.左下は,魚眼レンズを装着したデジタルカメラの可視光画像.右下は,可視光画像にガンマ線画像を重ねたもの.ガンマ線画像は,バックプロジェクション画像から集積の有意度を判定し,有意と認められる集積のみを表示した.赤色がより有意度が高い(強度が高い)場所を示す.詳細は本号に掲載されている高橋忠幸氏らの「話題」記事を参照のこと.

■口絵
今月号の記事から 345

■巻頭言
刊行委員会の課題 高野 宏 349

■交流
ホイスラー化合物熱電材料の実用化研究―材料設計からモジュール開発まで― 西野洋一,三上祐史 350

■解説
ヘリウム様原子におけるフントの第一規則の起源 佐甲徳栄 358

■最近の研究から
宇宙の大規模構造の新展開:原始揺らぎの非ガウス性は何をもたらすか? 西道啓博 366
カリウムをドープしたグラファイトに無磁場下で出現するランダウ準位 近藤剛弘,郭 東輝,中村潤児 371
高いスピンのゲージ理論によるAdS/CFT対応の理解に向けて 疋田泰章 378

■話題
コンプトンカメラで放射性物質の飛散状況を可視化する 高橋忠幸,武田伸一郎,渡辺 伸 382

■JPSJの最近の注目論文から
2月の編集委員会より 安藤恒也 387

■シリーズ「物理教育は今」
放射線を科学的に理解するための教育 鳥居寛之 390
ラ・トッカータ    ゴダード体験記 坂本貴紀 393

■追悼
畏友高橋康博士を悼む 亀淵 迪 396

■新著紹介 397
第2版 シュッツ 相対論入門;ハードカバー版 : 早田 次郎
物性I;物質の構造と性質 : 塚田 捷
物性II;素励起の物理 : 塚田 捷
Advanced Topics in Quantum Field Theory; A Lecture Course : 坂井 典佑
放射線を科学的に理解する;基礎からわかる東大教養の講義 : 村田 次郎