JPSJ注目論文

JPSJ 2013年8月号の注目論文

EuNi2P2 の重い電子状態は、やはり近藤効果か?

 正方晶ThCr2Si2 型の EuNi2P2は電子比熱係数が100 mJ/(K2∙mol) の重い電子系であることが知られていたが、なぜ重くなるのかはわからないでいた。そこで、EuNi2P2 単結晶の比熱・熱膨張係数等を測定し、体積が約 100 K から降温とともに著しく収縮することを明らかにした。このことから、重い電子状態の形成は近藤効果によるもので、体積が著しく収縮することに伴い、4f電子の局在モーメントを伝導電子のスピンが遮蔽することを通して、4f 電子と伝導電子が一体となって遍歴電子となることが分かった。今回のEu化合物の重い電子系で特徴的なことは、4f電子の価数の温度依存性と、4f電子の磁性が関与する体積変化とが見事にスケールされることが示されたことである。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Heavy Fermion State Based on the Kondo Effect in EuNi2P2
Yuichi Hiranaka, Ai Nakamura, Masato Hedo, Tetsuya Takeuchi, Akinobu Mori, Yusuke Hirose, Katsuya Mitamura, Kiyohiro Sugiyama, Masayuki Hagiwara, Takao Nakama, and Yoshichika Ōnuki: J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 083708



二成分流体中を動く微小粒子の受ける力

 本研究では、二成分流体中におけるコロイド粒子の動力学を定式化し、Stokesの抵抗法則の単成分流体の場合からのずれを、粘性係数が組成に依存しないと仮定して計算した。コロイド粒子周囲の組成勾配によって、単成分の場合と比較して、より広範囲に強い流れが生じ、‬コロイド粒子の抵抗係数が大きくなることがわかった。特に、相関長が短いとき、抵抗係数の増加は相関長の6乗に比例することが明らかになった。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Drag Coefficient of a Rigid Spherical Particle in a Near-Critical Binary Fluid Mixture
Ryuichi Okamoto, Youhei Fujitani, and Shigeyuki Komura: J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 084003