JPSJ注目論文

JPSJ 2014年12月号の注目論文

2重遅延モデルを用いたクラリネットのレジスターホールの解析

 本研究では、クラリネットの機能を単純化した二重遅延モデルを用いて3倍音を作り出すレジスターホールの機能の解析が行われた。このモデルでは、長い遅延が共鳴管の開口端反射を、短い遅延がレジスターホールによる反射を表す。径の小さなレジスターホールに合わせ、短い遅延の強度が小さい場合の解析が行われ、二重遅延系に共通する力学的な性質からクラリネットのレジスターホールの機能が説明可能であることが示された。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Mode Selection Rules for Two-Delay Systems: Dynamical Explanation for the Function of the Register Hole on the Clarinet
Kin'ya Takahashi, Kana Goya, and Saya Goya, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 124003 (2014).



電子論からみたナトリウム硫黄二次電池の充放電機構

 最近、ポストリチウムイオン電池の候補として、室温動作を目指した固体型Na/S電池の開発が始まりつつあるが、その詳細な性能や微視的充放電機構にはまだ不明な点が多い状況である。本研究では、固体Na/S電池性能に関する理論予測を目的として、SやNa多硫化物結晶の電子構造や相安定性を量子論に基づく第一原理計算から詳細に調べた。固体型Na/S電池における支配的な充放電反応式を理論的に解析し、その微視的機構が初めて明らかにされた。

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原論文は以下よりご覧いただけます
First-Principles Study on Structural and Electronic Properties of α-S and Na–S Crystals
Hiroyoshi Momida, Tomoki Yamashita, and Tamio Oguchi, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 124713 (2014).



2層グラフェン層間化合物における強い電子フォノン相互作用の観測

 グラファイト層間化合物C8Rbの最も薄い極限である2層グラフェン層間化合物C8RbC8を合成し、その電子状態を高分解能角度分解光電子分光を用いて調べた。その結果、フェルミ準位近傍の電子バンドに特徴的な折れ曲がり〔キンク〕構造を観測した。解析の結果、そのキンク構造の起源が電子と面内および面直方向に振動するフォノン〔格子〕との強い相互作用であることを見出した。この事は、グラフェン層間化合物で観測される特異な物性に,強い電子・格子相互作用が密接に関与していることを示している。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Anisotropic Electron–Phonon Coupling in Rb-Intercalated Bilayer Graphene
James Kleeman, Katsuaki Sugawara, Takafumi Sato, and Takashi Takahashi, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 124715 (2014).