表紙からエッシャーがお好きであった伏見康治先生が，晩年にご自身の 歩まれた道を振り返って描かれた戯画である．理論物理から実験物理，原子力から核融合，そして学術行政，と多岐にわたり多彩な活動を重ねる傍ら，文筆にす ぐれ，美のセンスに恵まれて，科学の啓蒙書や，折り紙の普及，など美との接点も大切にされた．左下は97歳の誕生日をお祝いした時の遺影である．
巻頭言
物理学術情報のわが国から世界へ向けた発信 髙山 一 339
小特集：伏見康治の世界を眺める--通り過ぎたあとに遺して行ったこと--
はじめに 340
大阪大学の伏見先生 伊藤順吉 341
伏見先生と統計力学 戸田盛和 345
伏見先生と量子論理 小澤正直 349
伏見先生と学術行政-加速器科学を中心に- 菊池 健 354
伏見康治の「科学と社会」-紆余曲折の一筋の道-
小沼通二，大塚益比古 357
核融合研究とプラズマ研究所所長時代の伏見先生 内田岱二郎 362
交 流
雷放電に伴う中層・超高層大気発光現象 高橋幸弘 365
最近の研究から
ブラックホール磁気圏と相対論的ジェット 小出眞路 373
籠状構造中の非調和格子振動の理論的研究 上田和夫 378
JPSJの最近の注目論文から Vol. 78 (2009) No. 2より 髙山 一 383
シリーズ「"ポスドク" 問題」
ポスドク問題への提言(1)物理学を生かす異業種・異分野進出の勧め 柴崎一郎 386
学界ニュース
日本学士院欧文学術誌について-Proceedings of the Japan Academy, Ser. B掲載の物理学論文
住吉孝行 388
国際会議
第3回IUPAP国際会議Women in Physics (ICWIP2008) 田島節子 390
新著紹介 391
工学系のための量子光学；
山 本 直 樹 〈慶大理工〉
階層構造の科学； 宇宙・地球・生命をつなぐ新しい視点；
池 内 了 〈総研大〉
スピンはめぐる； 成熟期の量子力学［新版］； 酒 井 英 行 〈東大院理〉
量子渦のダイナミクス/砂丘と風紋の動力学； 太 田 隆 夫 〈京大理〉
物理学史； 福 島 肇 〈もと錦城高校〉
編集後記
植松英穂
